ある日、相続が発生した。

何はともあれ、まずは戦ってみましょうか。

ある日、相続が発生した。128

私がQ県からJ県に戻ったところから……というか、続きです。


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昨日、近衛不動産の営業さんより電話がかかってきました。

まずその前にひとつ。

平井汀子さんが送ると言い張っていた手紙なるものは着ておりません。恐らく来ないだろうと思ってはいましたが、やっぱりありませんでした。なので、そのことは先に近衛不動産には報せておきました。


で、電話の内容ですが。


まず1件目。

平井汀子さんは無事に遺族年金を取得出来ることになったそうです。旦那様がお亡くなりになってから全く手続きしていなかったため、その手続き自体にかなり手間取ったようですが、役所の方はOKしたようです。

なので、これまでの分とこれからの分、どれだけか金額は知りませんが、平井汀子さんの懐に入るようです。


次、2件目。

やはり立ち退きはしたくない、と言い始めたそうで。

うーんw それならそれで地代をお支払い頂けるのであれば構いません。

ただしこれまでの滞納分を含め、これからも毎月地代が掛かってくるので、それを払える能力があるのかどうか疑問ですけど。

ですのでこの件は近衛不動産に仲介をしてもらう、という形で相場の金額を請求することにしました。


3件目。

生活保護、という単語は今回は1度も出ませんでした。まあ、あれだけ釘を刺しておけば、平井汀子さんも変な気は起こせないというか、逆にびびったのでしょう。

ですが、今度は自分の息子、つまり平井洋司さんの遺族年金を請求したいとのことで。


この電話の時には無理だと思っていたのですが、後で調べたら住民票が同じ場所にあるなら可能である、ということが判ったのでその旨を近衛不動産に伝えたところ。


「えっ!? あの、お子さんは請求出来ないんですか?」


はい、出来ません。


子供3人は確かに平井洋司さんの実子でありますが、当時、生計が別であったため、遺族年金は請求出来ないのです。仮にしたとしても下りないでしょう。

そして平井洋司さんが子供の面倒を見ていたのならともかく、住所が全く別で、しかも養育費を支払っていたという話は聞いていたものの、それは正規の手続きを経ておらず、証拠がないのです。


例えば裁判所できっちり手続きをした上で養育費を支払っていた場合になら請求も可能かも知れないのですが、私はそれらの手続きは一切しておりませぬ。

ですので、出来ません。


「でも、平井汀子さんは旦那さんの分を請求出来るんですよね? えっ、お子さんは実の親子なのに出来ないんですか?


ええ、そーなってるんです。法律で。


「えーーーー……」


近衛不動産の営業さんが言いたいことはよく判ります。

そうですね。あの場所に住んでるかどうかもアヤシイ、おまけに資産持ってるくせに生活保護をうけようとかしてた平井汀子さんが請求出来るのに、実子であり、しかも資産があるったって平井汀子さんが邪魔をしていて現金化出来ておらず、ついでに言えば多大なる迷惑を被っている子供3人が請求出来ないというのは納得いかないのでしょう。


ええ、ええ、判ります。

判るんですが、駄目なんですよw


とりあえずその辺りのことを説明した後。


近衛不動産さんは実は今、平井汀子さんに市営住宅に入ることを勧めているのだそうです。

確かに市営住宅なら平井汀子さんの場合はタダでしょうから、住むには問題ありません。ガス、水道、電気もきっちりしていますしね。

今のあのボロ屋と比べれば天国かと。ま、住んでいると仮定しての話ですけど。

本人が住んでるって言い張ってますからねえ……。


そして平井汀子さんは息子である平井洋司さんの分も遺族年金を請求する気満々らしいです。

いえ、構わないんですよ。ええ。法的には可能なのです。

息子の収入に頼って生活していたのなら……事実、住民票はそこにあったわけですから、そういうことになります。書面上は……問題ありません。


すると近衛不動産の営業さん、またびっくりしたらしく。


「えっ!? 旦那さんのも出来て、息子さんのもですか!?」


はい、可能です。


かつては旦那様の収入で生活していて、その収入が絶たれたため、遺族年金をもらうことが出来る。これは昔の話ですから、殆ど無条件で通るはずです。当時の法律に則って支給されますから。

そして平井洋司さんの場合ですが、これもまた請求は可能です。

ただし、現代の法律に則って支給されますので、様々な書類が必要になりますし、手続きは非常に面倒なことになります。


平井汀子さんは自分で行って訊いてみる、と言っていたそーですが。

まず一人では手続き出来ないでしょう。そう思ったので、私は近衛不動産さんに、


「えーと、すみません。恐らく手続きが非常にややこしいので、そっちにヘルプコールが行くと思います」


と、あらかじめ言っておきました。

近衛不動産の営業さんは判りました、と快諾してくださいましたが、本当に申し訳ない気持ちです。


ノーギャラなわけですよ、これ。いえ、後々仲介料という形で近衛不動産にはとってもらうつもりではありますけどね? でも、平井汀子さんは一切、近衛不動産の営業には支払いしないわけです。

恐らく下手をするとありがとうの言葉すらありません。だってあれだけ誠意を持って接してくれて、さらに手続きを手伝ってくれた近衛不動産をぶっちした訳でしょう? 感謝の気持ちなんかないんじゃないですかね?


しかしまあ、今回もですが、ほんっとにDQNは固まりたがりますね。

いっそのこと物理的に村を形成して、その中だけで生きてくれませんかね? めんどくさい。


近衛不動産の営業さんとのお話はこれで一応は一段落です。

あとはこちらの出した金額に応じた請求書を作成してもらい、平井汀子さんに突き付けていただけばおっけえです。
月々の支払いをしなくてはならない、ということをまず念頭に置いて頂き、なおかつ、支払いが出来るということであれば、文句ありません。そこに居て頂いて結構です。

ただし、例えば今回の震災のようなことが起きて近隣の方にご迷惑を掛ける事態になった時、全責任は平井汀子さんに取っていただきます。その一文を必ず入れてください、とお願いしておきました。

もちろんです、と近衛不動産さんは返答してくださいました。


そこに居座り続ける、ということは、そういうことなのです。